株式会社稲沢機械製作所さま 製造業
研修で生まれた変化が、受講した4名の中で止まりませんでした。
研修が終わったあと、4名がご自身で社内のメンバーを集め、AIの使い方を共有する場をつくられました。対象は、研修を受けていない7〜8名の皆様です。
「まず選択肢の中にAIを使うという選択肢がなかった」ところから、「とりあえずAIに聞いてみる」が当たり前になるまで。全3回の研修が生んだのは、AIを使える4名ではなく、AI活用が社内へ広がっていく流れそのものでした。
背景|「AIを使う」という選択肢が生まれるところから始まりました
株式会社稲沢機械製作所は、図面をもとに機械部品の製造をされている企業です。2026年4月、全3回のAI活用人材開発研修を対面で実施し、4名の皆様が受講されました。
研修前の状況について、ご担当者様は率直にお話しくださいました。
「まず、選択肢の中にAIを使うという選択肢がなかった」
調べものも、文章づくりも、これまでのやり方で回っていた状態です。そこに「AIという選択肢」が加わったことが、今回の一番大きな変化でした。
そして特徴的だったのは、変化が受講した4名の中で止まらなかったことです。
変化|受講した4名が、社内で「教える側」になりました
社内での自主研修 ── 受講していない7〜8名へ
研修が終わったあと、受講された4名が自分たちで社内のメンバーを集め、AIの使い方を共有する場をつくられました。
「みんなを集めて、講習とまではいかないですけど、触りを教えた程度です」
謙遜されていましたが、実際には2〜3時間の時間をきちんと確保し、研修で使った資料を活用して進められています。KANNONがこれまでAI活用人材開発研修を実施してきた中で、受講者ご自身が社内研修を開かれたのは今回が初めてです。
その結果、社内で実際にAIに触れる人が広がりました。
「触ってる人は、割といろいろ触ってます」
メール・報告書の文章づくり
日々の業務の中で最も定着したのが、メールの返信と報告書の作成でした。
「メールの返信等に関しては、かなり文章を考えてる時間もなくなってます」
文章を一から組み立てる時間が短くなり、内容の確認と判断に時間を使えるようになります。頻度が高い業務ほど、積み上がる効果は大きくなります。
調べものの入口が変わりました
研修前は、検索エンジンを開いて自分で検索ワードを組み立てるところから始めていた調べものが、まずAIに聞くところから始まる形に変わりました。
「まずAIに聞いてから、出てきたやつに関してファクトチェックはしようかなって感じで」
そのまま鵜呑みにするのではなく、AIで当たりをつけてから自分で裏を取るという使い方が定着しています。技術的な計算や専門的な内容を調べる場面でも、検索ワードに置き換えづらい聞き方ができる点に手応えを感じられていました。
図面から品物をリスト化する
製造の現場で最も可能性を感じられているのが、図面まわりの業務です。図面をもとに、機械で使う品物を整理してリストにする使い方に取り組まれました。
「機械で使う品物を整理していくのには役立てたので、そこはちょっと良かったかな」
リスト化したい品物をあらかじめこちらで準備しておき、Excelを通して整理する形にすると、うまく進められたとのことです。AIに一度で全部やらせるのではなく、手元の準備と組み合わせて使い方を設計されている点が印象的でした。
社内に広がった活用領域
| 領域 | 使われ方 |
|---|---|
| メール | 返信文の作成 |
| 報告書 | 文章の作成 |
| 調べもの | まずAIに聞き、出てきた内容を確認する |
| 技術的な計算 | 計算方法や考え方の相談 |
| 図面 | 使用する品物の整理・リスト化 |
意識の変化|「AIという選択肢がなかった」から「とりあえずAIに聞いてみる」へ
研修を通じて一番大きかった変化を、次のようにお話しいただきました。
「今は、とりあえずAIに聞いてみるかみたいな感じになってる。それが一番大きいですかね」
1. 調べる前に、まずAIに聞くようになりました
これまでは検索ワードを自分で組み立てるところから始めていた調べものが、まずAIに聞いてみるところから始まる形になりました。入口が変わったことで、調べられる範囲そのものが広がっています。
2. 文章を考えている時間がなくなりました
メールの返信や報告書の作成で、文章を組み立てる時間が短くなりました。毎日発生する業務だからこそ、効果が積み上がっていきます。
3. 受けた人が、広げる人になりました
研修で得たものを受講者の中にとどめず、社内の7〜8名へ自分たちの言葉で共有されました。会社としてAIに触れる人数が、研修の受講人数を大きく上回っています。
4. 「今できること」と「これからのこと」を見極められるようになりました
今回のお話で最も価値があったのは、AIの得意な領域と、これから伸びていく領域を、ご自身で判断できる状態になっていたことです。
「簡単なやつに関しては、かなり精度が高いので」
シンプルな内容では十分な精度が出る一方で、情報量の多い図面の読み取りはこれから伸びていく領域です。この見極めができていると、AIに任せる仕事と人が担う仕事を、社内で自分たちで切り分けられるようになります。
今後の展望
図面からの部品集計 ── 鍵は「画像処理に強いAI」
今回のお話の中で、最も可能性が大きいテーマとして挙がったのが図面の集計です。
たとえば部品図が30枚あり、それぞれにボルトの種類とサイズと数量が記載されているとします。これを全部読み込んで1枚のリストに集計する工程は、現在は人の手で行われています。
「そこの図面の集計するところを今人の手でやってるんで、そこができるAIがあればいいかなと思いますけどね。画像処理に強いAIですかね」
頻度は月に1回程度ですが、まとまると半日から数日かかる作業です。ここが自動化できれば、集計されたリストから発注書を作成するところまで、一本の流れになります。
図面の形式のばらつきへの対応
図面は取引先ごとに形式が異なるため、同じ読み取り方がそのまま通用しない場面があります。この点も、AIに読ませる前の整え方を設計することで進められる余地があります。
| 必要な要素 | 内容 |
|---|---|
| 図面の読み取り精度 | 大判図面の名称・サイズ・数量の抽出 |
| 形式のばらつきへの対応 | 取引先ごとに異なる図面フォーマットへの対応 |
| 集計の自動化 | 複数枚の図面をまたいだ部品単位の集計 |
| 発注書への連携 | 集計したリストから発注書を作成する流れ |
社内研修の続き ── 触った人を、使いこなす人へ
社内でAIに触れる人は広がりました。次のステップは、触れた方々が業務の中で自分の使い方を持てる状態にしていくことです。すでに社内で共有する土台ができているため、内容を足していける状態にあります。
現在地
「使う程度のレベルには問題ない感じで動いてますんで、使えてるかなっていう」
日常業務でAIが当たり前に使われている状態は、すでにできあがっています。ここから先は、図面や集計といった、業務の中心にある工程へどう広げていくかです。