株式会社西日本セフティデンキさま 電気材料の製造・卸売

研修をきっかけに、社内で生成AIの活用が始まりました。
他社相当品の調査、材料選定と積算、売上データの集計、見積アプリの内製。
いずれも受講された方が日々の業務のなかで実際に使われているもので、積算では約10分かかっていた作業が1分になりました。全4回の研修が生んだのは「AIを使える人」ではなく、「たたき台はAIに任せ、確認は人が担う」という業務の分担でした。
背景|研修が、社内で最初のきっかけになりました
株式会社西日本セフティデンキは、愛知県長久手市に拠点を置く、電気材料の製造・卸売の企業です。従業員は約20名。2026年7月9日から7月28日にかけて全4回のAI活用人材開発研修を対面で実施し、6名の皆様が受講されました。
研修を受けられる前、社内で生成AIを業務に取り入れている状態ではありませんでした。研修が、社内で最初のきっかけになった形です。
現在は、受講された方を中心に日々の業務でAIが動いています。無料版のChatGPTを使う部署と、有料プランを導入して先行する部署に分かれ、それぞれのペースで活用が進んでいます。
変化|「調べる道具」から「業務を進める道具」になりました
他社相当品の調査 ── 最初の一手がAIになりました
取り扱う製品の性質上、他社の相当品を探す場面が日常的にあります。この工程で、AIが最初の窓口になりました。
「他社相当品探してっていうことが多いので、そういったものを使うことが多いですかね」
以前はGoogle検索から始めていた作業が、まずAIに聞くところから始まる形に変わりました。調べものの起点そのものが入れ替わったことになります。
返ってきた回答は、そのまま使うのではなく、メーカーへの確認で答え合わせをされています。
「ただ100ではないので、そういったちゃんとした確認が必要になると思うんですけども」
それでも、何もないところから調べ始める必要がなくなりました。たたき台をAIが作り、人が確認する。この役割分担が、業務のなかで自然に定着しています。
材料選定と積算 ── PDFを読ませて10分が1分に
加工に使う材料の選定と積算では、PDFをそのままAIに読み込ませる使い方が実践されています。
これまでは、資料から数値を拾い、計算する工程でした。現在は資料を渡すだけで、必要な材料と数量が返ってきます。
「チャットでやったんだけど、早かったよ」
要した時間は、約10分から1分に短縮されました。 数字を拾い上げて整理する作業は、AIが得意とする領域です。
さらに、計算結果を返すだけで終わらない場面も出てきました。
「加工なんで余分に入れたらどうかっていうアドバイスもありましたね」
加工で生じる余裕分を見込んではどうか、という提案まで返ってきます。計算の代行にとどまらず、経験者が持っている判断の観点まで補える形になっています。
見積アプリの内製と売上集計 ── 有料プランを導入した部署から
一部の部署では、有料プランを導入されています。導入の形は、一人ひとりにアカウントを配るのではなく、部署でひとつのアカウントを共有するやり方です。
この部署では、部署内で使う見積アプリを内製されました。現在はデータの登録を進めている段階で、運用に向けた準備が続いています。あわせて、日々の売上データの集計にもAIを使われています。
一つの部署が先に有料プランで踏み込み、そこで得た使い方を社内へ広げていく。この進め方が、いまの社内の形になっています。
全社で取り組んだテーマ
| テーマ | 内容 |
|---|---|
| 他社相当品の調査 | 仕様から相当品を探し、メーカーへ確認して確定する |
| 材料選定・積算 | PDFを読み込ませ、必要な材料と数量を算出する |
| 売上データの集計 | 日々の売上データの集計と加工 |
| 見積アプリ | 部署内で使う見積アプリを内製 |
意識の変化|「使える人を増やす」から「使える部署から広げる」へ
1. 調べものの起点がAIになりました
研修前は、業務にAIを取り入れていない状態でした。現在は、他社相当品を探すときも、材料を選ぶときも、まずAIに聞くところから始まります。検索エンジンに向かう前にAIに向かう、という順番が定着しました。
2. 「たたき台はAI、確認は人」という分担ができました
AIの回答をそのまま使うのではなく、メーカーへの確認や社内での検証を挟む形が定着しています。精度を疑うのではなく、確認を前提に置いたうえで、たたき台をつくる速さを取りにいく。この使い分けが自然にできています。
3. 部署単位で共有アカウントから始める、という進め方が定まりました
一人ひとりにアカウントを配るのではなく、部署でひとつを共有し、先行する部署から慣れていく。慣れた部署のやり方を他の部署へ広げていく道筋が見えています。スモールスタートの形が、社内の言葉として共有されています。
4. 情報の扱い方を、自分たちのルールとして決められるようになりました
AI活用は時間の削減に目が向きやすいものですが、今回のお話では、社内の情報をどう守るかという論点が同じ重さで語られました。仕入れに関する数値や個人情報を送信しない、学習に使われる設定を切る。どこまでなら渡してよいかを社内で判断できる状態になったことは、活用範囲を広げるうえでの土台になります。
今後の展望
部署をまたいだ横展開 ── 鍵は「先行した部署の型」
現在、有料プランでの活用が進んでいる部署があります。ここで慣れたやり方を他の部署へ広げていく構想があります。
先行した部署が使い方を確立し、それを型として渡していく。一斉に全社へ展開するのではなく、実績のある使い方から順に広げる形は、無理なく定着させる進め方です。
他ソフトとの連携 ── いま残っている一番の論点
活用が部署によって差がある理由として挙がったのが、他のソフトとの連携でした。
「他のソフトとの連携が必要なものなので」
社内の業務は、AI単体で完結するものばかりではありません。表計算、基幹システム、メールなど、複数のソフトをまたいで進む業務では、その間をどうつなぐかが論点になります。
メール連携の設定についても、複数名で共有する形にする際に確認が必要な状態が残っています。この点はサポート窓口でご相談を承る形でお話をしています。
情報の扱い方を、社内のルールに
「うちの中の情報が外に出ていかないように、会社内で確認をとって設定していこうかな」
学習に使われる設定を切ることについて、一部の部署ではすでに対応が済んでいます。これを社内全体で徹底できているかを確認し、ルールとして揃えていきたいというお話でした。
活用を広げる前に、どこまでなら渡してよいかを決めておく。この順番で進められていることが、今後の展開を支えます。