大橋運輸株式会社さま 運送業


愛知県瀬戸市の運送会社・大橋運輸株式会社では、全3回のAI活用人材開発研修をきっかけに、社内のAI活用の方針が「RPAをいかに早く入れるか」から「AIエージェントで業務全体を変える」へと切り替わりました。
部署もお立場も異なる受講者が同じ方向を向き、経営と現場の両方で次の一歩が決まっています。


背景|「RPAをいかに早く入れるか」からのスタート

大橋運輸株式会社は、愛知県瀬戸市に本社を置く運送会社です。2026年5月から9月にかけて、全3回のAI活用人材開発研修を対面で実施し、4名の皆様が受講されました。受講されたのは、部署もお立場も異なるメンバーです。

同社では、研修の1年ほど前から社内でAIの活用を進めてきました。ただ、当初の議論の中心は「RPA(決まった操作を自動で繰り返す仕組み)をいかに早く入れるか」でした。研修の時点でも、Excelのマクロでアプリを作ってみたいというテーマが挙がっていました。

その方針が、研修をきっかけに大きく変わります。

「多分これ、研修出てなかったら、AIエージェントって話にはなってない」


変化|部署もお立場も違うメンバーが、同じ方向を向きました

日々のメール作成 ── 速さだけでなく、文章の質が上がった

受講されたうちのお一人は、今ではほぼ毎日AIを使われています。研修前の課題は、どのように指示を出せば、まとまった回答が返ってくるのかが分からないことでした。

研修で指示の出し方を学んだことで、メール作成の効率が上がり、メール以外の業務にも使える幅が広がっています。変化は社内からも見えていて、「このメールの文章いいよね」と社内で話題になるほどです。

AIに任せて終わりにするのではなく、手直しをして仕上げる使い方も定着しつつあります。

「AIに指示しておいて、他の仕事をして、また手直しして質を高めていく」

作業を速く終わらせるためだけでなく、仕上がりの質を上げるためにAIを使う。この考え方が、受講者の間で共有されています。

管理職と一般職が一緒に受けたこと ── 社内にギアが入った

今回の研修は、管理する立場の方と現場の方が同じ場で受講する形でした。決裁する側にも危機感が生まれ、「より積極的に使おう」というところでギアが入ったといいます。

「迷いなくやるべきだって話になりました」

1回目の研修のあと、社内でのAI活用の速度が上がり、2回目の時点では、すでに多くの受講者が取り組みを始めていました。

RPAからAIエージェントへ ── 研修の途中で方針が変わった

研修が進むなかで、社内の次の一手は「RPA」から「AIエージェント(複数の作業をAIが連携してこなす仕組み)」へと切り替わりました。個別の作業を一つずつ効率化するよりも、業務全体を自動化するほうを先に進めるべきだ、という判断です。

3回目の研修の最中には、講師の勧めをきっかけに、AIエージェントに詳しい方へその場で相談を持ちかけるという動きもありました。研修が、知識を得る場から、次の行動を決める場になっていたことが分かります。

研修前研修後
RPAをいかに早く入れるかAIエージェントで業務全体を自動化する
アプリで一つの業務を楽にするどの業務をAIに任せるかを社内で洗い出す
AIを使う社員と使わない社員で差がある部署を問わず、AIを使うことが前提になった

意識の変化|「作業を楽にするAI」から「会社の仕組みを変えるAI」へ

1. AIで何をするかは、経営が決めるものになりました

経営の立場から研修に立ち会われた方が、研修を通じて強く感じたのは、AIの取り組みは現場任せでは進まないということでした。

「経営者が参画せずに『やっときなさいよ』だとできない」

まず経営者がAIで実現したいことを決め、社員はそれぞれの部署で、AIに任せられる業務を洗い出す。決める側と実際に使う側の両方が理解していなければ、会社全体の取り組みにはならない、という考えです。

2. これまでの積み重ねが、AIの土台になると分かりました

同社は長年、社員一人ひとりの具体的な行動の指針づくりに力を入れてきました。AIへの指示の出し方を学ぶなかで、その考え方がAIととても相性がよいことに気づかれたそうです。

また、2年ほど前には、社内の業務を細かく分けてマニュアルにし、見える形に整えています。

「今回AIだとやりやすいかな」

**新しく何かを始めるのではなく、これまで積み上げてきたものがそのままAI活用の土台になる。**そう捉えられたことが、迷わず次の段階へ進めた理由の一つになっています。

3. AIは「使わなければ取り残される」ものになりました

AIを使っている人と使っていない人とでは、生産性に大きな差が出る。これまで何週間もかかっていた仕事が、あっという間に終わることもある。そうした実感から、AIはもはや選ぶものではなく、使っていかなければ取り残されるもの、という認識に変わりました。

だからこそ、使える人を一部に限らず、会社全体で使うことを前提にする。その考えが、部署を越えて共有されています。


今後の展望

AIエージェントの実装 ── 年内に洗い出し、年明けから着手

今後は、AIエージェントの実装に向けた準備を年内に進める予定です。経営者がAIで実現したいテーマを定め、社員は部署ごとにAIに任せる業務を洗い出します。そのうえで、年明けから半年ほどをかけて、最初の仕組みづくりに取り組まれる計画です。

社内の規定・制度の見直し ── AIを使える土台を、全員のために

業務でAIを使おうとしたとき、最初に見えてきた課題は、ツールの使い方ではなく社内の体制でした。AIの活用を広げるには、まず社内の規定や制度の見直しが必要だと考えられています。

同社では、年齢や性別、国籍、障害の有無など、さまざまな背景を持つ社員が働いています。言葉の壁をはじめ、働くうえでの壁をなくすためにAIを活かせないか、という視点も持たれています。

これから取り組みたいこといまの状況
AIに任せる業務の洗い出し年内に、経営と各部署で進める
AIエージェントの実装年明けから半年ほどで、最初の仕組みをつくる計画
社内の規定・制度の見直しAIを使う前提で、ルールを整えていく
多様な社員が働きやすくなる活用多言語での対応など、壁をなくす使い方を検討

研修を終えた今、同社のテーマは「AIをどう使うか」から「AIを前提に、会社の仕組みをどう整えるか」へと移っています。研修で学んだAIへの取り組みそのものについても、大企業だけのものではない、という思いを強く持たれています。