A社さま レンタル業


個人で使っていたAIが、研修を境に「会社の仕事で使うもの」になりました。
月次の資料、議事録、社内規定や契約文書の初稿、経営方針書、そして社内アプリの開発まで。

社内のやり取りの中に、AIで作ったものが自然に入ってくるようになっています。一方で、基幹システムの連携や社員の知識のボット化など、「AIだけでは届かないところ」も見えてきました。


背景|個人で使っていたAIを、会社の仕事で使うために

愛知県名古屋市に拠点を置き、レンタル事業を営む企業です。2026年4月から6月にかけて、全3回のAI活用人材開発研修を対面で実施しました。

研修前から、AIに関心のある社員の方は個人的にAIを使っていました。ただ、それはあくまで個人の利用で、「業務として本当に使っていいのか」という迷いが残っていたといいます。

会社として、世の中の一般的な水準でAIを使えるようにしたい。使える人が増えれば、その姿を見て周りの社員も刺激を受ける。そうした狙いから、研修の受講を決められました。

きっかけになったのは、会社として有料プランのライセンスを導入したことと、研修をみんなで受けたことでした。

「会社として使うんだとか、使っていいんだみたいな、そういうオフィシャルな雰囲気」


変化|AIが、社内の資料づくりに当たり前に絡むようになりました

資料・議事録づくり ── まずAIに作らせる

もともとAIを使っていたDX担当の方は、研修でさらに使い方の幅を広げられました。今では、業務の中でAIを使わない日はほとんどないそうです。

「AIは使わない日はないぐらいですね」

月に1〜2回作る会社の資料は、これまで手作業の多い仕事でしたが、AIで自動化できる部分が出てきています。普段の簡単な説明資料や、作業のための資料も、AIに作らせるところから始めています。最近では、会議を録音してその場でAIに読み込ませ、議事録を作る流れもできているそうです。

根っこにあるのは、「どの仕事にAIを結びつけられるか」から考える姿勢です。

「なるべくどんな業務にもAIをうまく結びつけられないか、みたいなところの考えがまずある」

アプリ開発 ── 設計からテストまでをAIと進める

研修でアプリ作成に取り組まれたDX担当の方は、研修後も社内向けアプリの開発を進められています。AIに依頼して作り、テストする。システム開発の一般的な工程を、AIと一緒に進めている形です。アプリはまだ開発の途中で、現在も進行中です。

管理部・営業部 ── 社内ニュースから営業会議の分析資料まで

研修を境に、業務でAIを使い込むようになった受講者の方もいらっしゃいます。

部署・立場使い方
管理部経営に関わる資料づくりや、社内ニュースのアウトライン作成
営業部長営業会議で使う分析資料の作成
DX担当会社の資料、説明資料、議事録、社内アプリの開発

規定・契約文書・経営方針書 ── 叩き台はAI、仕上げは人

研修をご担当いただいた管理部の方は、ご自身が直接AIを触ることはありません。それでも、部下に指示を出すと、AIで数値をまとめたり文書の構成を作ったりしたものが上がってくる機会が大きく増えたといいます。

社内規定のアウトライン、初めて作る規定や契約文書の初稿もAIで作られています。決算を終えて新しい期に向けた経営方針書も、骨子を作ったものをDX担当の方がAIで方針書の形に整えました。上がってきたものを人の目で確認し、直すべきところを直して仕上げています。

「キャッチボールの中で、AIで作ったものが絡む機会が増えているのが、すごく実感的にもあります」

全部をAIに任せるのではなく、やり取りの中にAIが自然に入ってくるようになりました。 時間の短縮にもつながっているそうです。


意識の変化|「個人でこっそり」から「会社として使っていい」へ

1. みんなが「使っていいんだ」と思えるようになりました

研修前は、AIを使っていても個人のレベルにとどまっていました。会社として研修を受け、「みんなで使ってね」という雰囲気ができたことで、AIの利用がオフィシャルなものになりました。

「みんなが使っていいんだなっていう感覚で、研修を境にスタートした感じはするんですよ」

2. 使う速さと、使う範囲が広がりました

研修で、個人で触っていた以上のスキルが身についた方が出てきました。AIを使うスピードが上がり、使う場面も広がっています。

「質量ともに、AIに触れて使うという部分が高まった」

3. 「AIに任せるところ」と「人が考えるところ」を見分ける段階へ

AIが社内に広がったからこそ見えてきたこともあります。上がってくる資料を見る立場からは、営業会議の資料などで、AIの分析やアドバイスが先に立ち、作った人自身の意見が入り込む余地のないものが目につくようになったといいます。

AIを否定するのではなく、使い方次第で良いものも、そうでないものもある。それを見分けて整理しながら使っていく。急に変わったときに出てくる「過渡期」の課題として受け止められています。

「利用の仕方次第でしょうね。それでいいものもあるし、それじゃダメなものもある」


今後の展望

基幹システムとの連携 ── AIだけでは届かないところ

文章づくりのような一つひとつの業務はAIで楽になった一方で、システム同士をつなぐところは難しいと感じられています。レンタル業務で使っている基幹システムと、ほかのシステムとの連携は、AIを使ってもシステムそのものが受け付けない場面があるそうです。

「AIも万能じゃないんで、解決は難しいなっていう感じですね」

ナレッジボット ── 人の経験を、形にするところから

社員が持っている経験や知識をAIのボットにしたい、という構想もあります。文書になっている情報であれば形にできる一方で、人の頭の中にある経験を言葉にして集めるところから始める必要があり、まだ手をつけられていない状況です。

これから取り組みたいこといま難しいと感じていること
基幹システムとほかのシステムの連携システムが違うため、AIだけではつなげない
社内の知識をまとめたボット人の経験や知識が、まだ文書になっていない
AIと人の役割の使い分けAIの答えが先に立ち、人の意見が入りにくい資料がある

「AIで何ができるか」は社内に広がりました。次は、AIだけでは届かないところをどう埋めていくかが、A社様のテーマになっています。