株式会社コヤマケミカルさま 製造業(金属製品)


「AIを使うと、自分たちで考えなくなってしまうのではないか」

研修前には、そんな見方もありました。

実際に業務で使い始めて見えてきたのは、考えることをAIに任せるのではなく、これまで時間をかけていた調査・整理・資料作成をAIに補助してもらうことで、本来考えるべき仕事に時間を使えるようになるという変化でした。

受講されたのは、会社の中核を担う幹部4名。就業規則をもとにした社内チャットボット、顧客別売上の分析、役員向けプレゼン資料、会社案内のデジタル化、そしてプログラミングまで。少人数から始まったAI活用が、少しずつ実際の業務へ入り始めています。


背景|幹部4名からAI活用をスタートしました

株式会社コヤマケミカルは、愛知県名古屋市に本社を構える企業です。2026年6月25日までに全3回のAI活用人材開発研修を実施し、4名の皆様が受講されました。

受講されたのは、会社の中核を担う幹部の皆様です。まず会社の中心となるメンバーがAIを理解し、自社のどの業務に使えるのか、どこまで任せられるのか、社内へどのように広げていくのかを、実際に触りながら考えていくところからのスタートでした。

研修前には、AI活用への期待とあわせて、こんな見方もあったといいます。

「AIによって、人が考えなくなってしまうのではないか」

便利だからこそ、何でも任せてしまうと自分たちの思考が浅くなるのではないか、というものです。研修で実際の業務を題材に使っていく中で、この見方は変わっていきました。


変化|「調べるAI」から「仕事を任せるAI」へ

研修を通じて大きかったのは、ChatGPTを調べるための道具として使うだけではなくなったことです。自社資料を読み込ませる、データを分析する、資料を作る、プログラムを書く、社内専用のチャットボットを作る。ここまで活用のイメージが広がりました。

就業規則の社内チャットボット ── 規程を「探す」から「聞く」へ

就業規則をAIに読み込ませ、社員からの質問に答えられるチャットボットとしての活用が進んでいます。現在はCodexを用いて構築されています。

  • 有給休暇はどのような条件で取得できるのか
  • 慶弔休暇は何日取得できるのか
  • 社内のこのルールは就業規則のどこに書いてあるのか

こうした質問に対して、毎回担当者が分厚い規程を確認するのではなく、AIに聞ける状態を目指されています。該当箇所を探す時間が短くなるだけでなく、社員自身が必要な情報へたどり着きやすくなります。文章を作るAIではなく、社内の情報を探す窓口としてのAI活用です。

顧客別の売上分析 ── 数字を「集める」から「読む」へ

業績やお客様ごとの売上データをAIに整理させる取り組みも進んでいます。

  • どのお客様の売上比率が高いのか
  • 前年と比較してどの取引先が伸びているのか
  • 売上構成がどのように変化しているのか
  • 特定のお客様への比率が高まっていないか

売上比率のような数字は常に動きます。一度作って印刷して終わりにするのではなく、最新のデータをもとに随時更新できる状態にしておくことで、経営判断にも使いやすくなります。集計そのものではなく、「この数字から何が言えるのか」を考える時間を増やすためのAI活用です。

役員向けプレゼン資料 ── 判断材料を短時間で整える

分析した情報を役員向けの資料に落とし込む活用にも取り組まれました。これまでは、必要な数字を集め、Excelで整理し、グラフを作り、伝える内容を考え、資料にまとめるという複数の工程が必要でした。

AIを使うことで、データの整理に加えて「この数字から何が言えるか」「どの順番で説明すると伝わるか」「どの数字をグラフにすると分かりやすいか」まで相談できます。AIが判断するのではありません。人が判断するための材料を、短い時間で整えるという使い方です。

会社案内のPDF化 ── O様

O様が取り組まれたテーマが、会社案内のアップデートでした。

以前はお客様へ会社を説明する際に紙の資料を使われていました。その後、内容を整理して冊子へバージョンアップ。さらに今回、AIを活用しながらPDF形式の会社案内へと発展しています。来社されたお客様に、そのままプロジェクターへ映しながら説明することもできます。

紙との一番の違いは、情報を更新し続けられることです。

「会社案内は一度作るもの」から、常に最新の状態へ更新していく資料へと位置づけが変わりました。

検索から、仕組みづくりへ ── N様

N様は、検索やプログラミングの領域で活用を進められています。

ChatGPTやCodexを使うことで、専門的なプログラミングの経験がなくても「こういう処理をしたい」「この作業を自動化したい」「このエラーを直したい」とAIと対話しながら仕組みを作ることができます。

AIに対して「分からないことを調べるもの」というイメージを持っていたとしても、その先には自分たちの業務に合わせた仕組みを作るという使い方があります。調べることから資料作成へ、資料作成から分析へ、そして分析からプログラミング・自動化へ。研修を通じて、活用の幅が段階的に広がりました。


意識の変化|「AIを使うと考えなくなる」から「考える時間が増える」へ

1. 心配していたことと、実際に起きたことは逆でした

研修前にあったのは「AIによって考えなくなるのではないか」という見方でした。実際に業務で使ってみて強く感じられたのは、時間短縮のメリットだったといいます。

情報を探す、文章を整える、データを集計する、資料の構成を考える。これらをすべてゼロから行うと多くの時間がかかります。AIを使えば、最初のたたき台を短い時間で作ることができます。

2. 生まれた時間は「人が考えるべきこと」に回りました

短縮できた時間は、「この内容で本当に正しいのか」「会社としてどう判断するのか」「お客様にどう伝えるのか」といった、人が考えるべき部分に使えるようになりました。AIによって考えなくなるのではなく、作業に使っていた時間を減らして考える時間を増やす。実際に使ったことで、AIへの捉え方そのものが変わりました。

3. AIは「調べる道具」から「仕組みを作る道具」になりました

検索ツールとしての使い方だけではなく、社内専用のチャットボットを作る、業務に合わせたプログラムを書くところまで活用が広がりました。使う側から、作る側へ。この変化が、研修後も活用が続いている理由になっています。

4. 資料は「作って終わり」ではなくなりました

会社案内も、売上分析も、一度作って完成ではなく更新し続けるものへと変わりました。数字が動くたびに作り直すのではなく、最新の状態を保ち続けられる形にしておく。この考え方は、他の資料にも広げていける発想です。


今後の展望

社内の情報をAIにつなげる ── 就業規則の「次」

就業規則のチャットボットは、社内情報をAIにつなぐ最初の一歩です。同じ考え方を広げていくと、次のような情報も活用の対象になります。

必要な人が、必要なタイミングで社内の情報にたどり着ける状態。その先には、情報を調べるだけでなく、仕組みによって業務そのものを効率化していく活用があります。

幹部4名から、全社へ

今回の研修は、全社員ではなく幹部4名からのスタートでした。この進め方には意味があります。

会社の中核を担うメンバーが、AIに何ができるのか、何を任せるべきではないのか、自社のどの業務に使えるのかを実体験として理解します。そのうえで、自社に合った使い方を社内へ広げていくことができます。

いきなり全社へ導入するのではなく、まず少人数で実際の業務に使い、成功例を作ります。そこから少しずつ広げていきます。今回生まれた5つの活用は、そのまま社内へ展開していく型になります。

大きな仕組みを最初から入れるのではなく、自分たちの仕事の中で使ってみる。そこで生まれた手応えを、一つずつ会社全体へ広げていく。AIを知る研修から、AIを業務に組み込んでいく取り組みへ。その第一歩が始まっています。