有限会社サカイ食品さま 食品製造業

研修で扱った3つのテーマが、受講後に業務の中で動いています。
勤怠集計の自動化、3か月先までの生産計画の共有、電気料金の比較、PDCAリストの月次評価、お客様への返信づくり、そして有給休暇の一斉付与への移行まで。
全2回の研修が生んだのは「AIを使える人」ではなく、経営から労務までの判断にAIを組み込む会社でした。
背景|「習わなければ、分からなかった」ところから始まりました
岐阜県高山市で飛騨の食材を扱われている食品製造業の企業です。2026年6月から7月にかけて、全2回のAI活用人材開発研修を対面で実施しました。
研修の実践パートでは、日々の業務に直結する3つのテーマを扱いました。
| テーマ | 研修で取り組んだ内容 |
|---|---|
| 加工人数 | 日々の加工人数の把握と集計 |
| 在庫・生産計画 | 在庫と生産の予定を整理し、社内で見える形にする |
研修から2か月が経った時点で、現在の状況をこう表現していただきました。
「もうフル活用しています」
変化|業務ごとに、AIが入りました
生産計画の共有 ── 「誰もが確認できる」状態へ
研修で扱った在庫のテーマは、その後、生産計画そのものへと広がりました。現在は3か月先までの予定を、工場側と管理側の双方で確認できる状態になっています。
「少なくとも生産は大丈夫だというところは、それを見れば誰もが確認できるようになっている」
これまで確認のたびに人に聞く必要があった情報が、見れば分かる形に変わりました。11月・12月の繁忙期にこの仕組みがきちんと回るかを、これから見極めていく段階です。
経営判断の材料づくり ── 電気料金の比較とPDCAの月次評価
研修で扱った3テーマの外側でも、AIが使われています。
電気料金の比較
契約している電力会社ごとの料金差を整理し、今後どうしていくかを判断するための材料としてAIに確認されています。
PDCAリストの月次評価
日次で作成されているPDCAリストを月単位でまとめて読み込ませ、評価をさせる使い方をされています。
「今月の実績と来月への課題みたいなところを確認したりとか、ものの5分でできちゃうので」
振り返りに時間をかけるのではなく、振り返った先の判断に時間を使える形になっています。
お客様対応の下書き ── 毎日届く生産依頼へ
お客様から毎日届く新規の生産依頼について、取りまとめのご返信をAIに作成させたうえで、内容を確認して返す形をとられています。
「中身をちゃんと読んでくれて、言いたいことをちゃんと作ってくれる」
労務への展開 ── 有給休暇の一斉付与へ
今回のお話の中で、最も踏み込んだ活用が語られたのが労務の領域でした。
中途入社の方が多いため、有給休暇の起算月が一人ひとり異なる形になっていました。20名規模になると、誰がいつ起算なのかを都度確認する必要があり、年5日の取得状況を会社として把握するのにも手間がかかります。
そこで2026年10月から、休暇の起算日を一斉付与に統一する方針を決められました。その移行の進め方も、あわせて必要になる就業規則の変更案も、AIで準備を進められています。最終的には社会保険労務士のチェックを受けたうえで切り替えるところまで、道筋ができています。
業務の効率化にとどまらず、制度そのものの見直しにまでAIが使われています。
事務部門での活用
事務を担当されている受講者の方も、取引先とのやりとりの中でAIに相談し、返答の方向性を確認する形で活用されています。研修を受けた方それぞれが、自分の担当業務の中でAIを使う状態になっています。
全社に広がったテーマ
| 領域 | 活用の形 |
|---|---|
| 勤怠 | タイムカード集計の自動化 |
| 生産 | 3か月先までの生産計画を社内で共有 |
| 経営 | 電気料金の比較、PDCAリストの月次評価 |
| 受注対応 | 毎日届く生産依頼への返信づくり |
| 労務 | 有給休暇の一斉付与への移行、就業規則の変更案 |
意識の変化|「習ったことで、考え方が広がった」
2. 「誰もが確認できる」状態になりました
生産計画は、担当者の頭の中や個別の管理から、見れば分かる形へ変わりました。情報が一人に集まらず、社内で共有できる状態になったことは、時間の削減とは別の価値です。
3. 学んだからこそ、使い道が見えてきました
「習わなければ知識もなかったわけで、習ったことで考え方も広がっている」
研修で扱った3つのテーマから、経営・労務・お客様対応へと活用範囲が自然に広がっています。「これもAIでできるのではないか」という発想が生まれたことが、その土台になっています。
4. 投資に対する手応えが生まれました
「すぐ元が取れるんじゃないかなと思う」
集計時間の削減だけでなく、判断のスピードが上がったこと、社内で共有できる状態が生まれたことが、この手応えの背景にあります。
今後の展望
タイムカードの読み取り ── 入口の自動化
集計そのものは自動化できている一方、タイムカードをPDFのまま読み取らせる部分は、これから取り組みたいテーマとして残っています。ここが通れば、勤怠の流れは入口から出口まで一本につながります。
定型帳票のフォーマットを固定する
月次の売上実績表について、AIに作らせるとフォーマットが毎月変わってしまうというお話がありました。前月のやりとりを引き継ぐ形で作ると、項目が少しずつ増えていってしまうためです。
「フォーマットが変わってしまうので、ちょっとそれが難点かなというところですね」
同じ形で出し続けるための雛形をあらかじめ用意し、そこに数字を流し込む形にしていくことが次のテーマになります。前年実績との対比や商品別の内訳まで含めて、毎月同じ形で出せる状態が目標です。
新しい情報をどう取り続けるか
「この先どうやって情報を得ていくのかというのが、ちょっと課題ではあるんですけどね」
AIツールの更新は早く、研修で得た知識をどう更新し続けるかという論点が挙がりました。社内にAI活用を根づかせていくうえで、情報のアンテナをどう張り続けるかが、次の一歩になります。
研修によって「AIで何ができるか」は具体的に見えるようになりました。次のテーマは、広がった活用をどう仕組みとして固定し、更新し続けていくかです。