協業組合 H.C建設さま 建設業(土木・建築)

協業組合 H.C

研修前は、AIを日常的に使われている方はほとんどいらっしゃいませんでした。
3か月後、受講されたメンバーの皆様は、検索の入口をAIに変え、経営計画書・発注者との協議資料・現場の安全資料をAIとともに仕上げています。

「精度の高いプロンプトを作ること」よりも先に、「とにかく使って、慣れること」。全3回の研修が生んだのは、会社全体でAIに触れる風土でした。


背景|「まず全員が触ってみる」ところから始まりました

岐阜県飛騨市を拠点に、公共工事をはじめとする土木・建築工事を手がけていらっしゃいます。2026年4月から6月にかけて、全3回のAI活用人材開発研修を対面で実施し、4名の皆様が受講されました。

研修前は、AIを日常的に使われている方はほとんどいらっしゃらない状態でした。ちょうど同じ時期にGoogle Workspaceの導入も進んでおり、「まずは全員が触れる状態を作る」ことが出発点でした。

研修から3か月が経ち、受講されたメンバーの皆様の仕事の進め方は、はっきりと変わっています。

「今までGoogleで検索していたようなことは、全てAIのほうに移行しています」

検索の入口がAIに変わり、ほぼ毎日AIに触れる状態になりました。そして代表理事ご自身が、社内で最も使い込まれている一人になっていらっしゃいます。


変化|「調べる道具」から「一緒に作る相手」へ

経営計画書とISO関連文書

最も大きな手応えが語られたのが、毎年作成される経営計画書です。ページ数は約110ページ。法改正や社内状況の変化に合わせて毎年内容を見直すため、隙間時間を使って1か月ほどかけて仕上げる資料でした。

過去の経営計画書をすべてNotebookLMに読み込ませ、年ごとの変化や改善すべき点を整理しながら作成する形に変えられました。

「毎年1か月ぐらいかけて作っていたものが、1週間かからずできるくらいになりました」

さらに、作った文書の確認にもAIを活用されています。

活用場面内容
ISO関連資料経営計画書を読み込ませ、それに沿った品質計画を作成
就業規則の点検ハラスメント関連の文言の有無を検索し、該当ページを確認
法的な確認作成した文書に問題がないかを確認
印刷物の校正印刷会社から戻ってきた原稿との差分を確認

「間違い探しをしたりとか、そういうのはすごく楽でした」

「試しに、ここまでできるかな」と確かめながら使う姿勢が続いています。図面を読み込ませて数量を拾い出させる試行もそのひとつで、できることの範囲を自分で確かめながら広げていく進め方が、そのまま社内への発信につながっています。

発注先との協議資料と現場看板

発注先の案件では、工事ごとに現場事務所を構えて業務にあたられています。仕様書・図面・工事に関するデータをAIに読み込ませ、次のような文書作成に活用されています。

  • 発注先と協議するための文書
  • 設計変更に関する資料
  • 比較検討資料

効果は社内にとどまりませんでした。発注者から「文章を作るのが上手だね」と評価をいただく場面が生まれています。経験を重ねている途中の担当者でも、必要な水準の文書を自分の手で仕上げられる状態になりました。

もうひとつが、工事現場に設置する説明看板です。完成イメージや現場技術者を紹介する、あの看板です。

これまではデザインから看板会社にお任せし、「これでいかがですか」「もう少しこうしてください」というやりとりを何度か重ねる流れでした。現在は自社でレイアウトまで作り込み、担当者の写真をイラストに変換したうえで、完成形に近い状態を看板会社へ渡す形になっています。メールで一度送れば形になるため、確認の往復が大きく減りました。

全社に広がった資料作成

テーマ内容
安全関係の資料各種情報と仕様書・図面をもとにスライドを作成
新規入場者への説明資料現場に新しく入る方への説明資料を短時間で作成
現場ごとの説明資料仕様書のデータを活用し、現場に合わせた内容へ

「指示を出して、他の仕事をしている間にできてくる」

指示を出してから他の業務に移り、戻ってきた頃には相応のボリュームの資料が仕上がっています。そんな進め方が定着しました。


意識の変化|「調べる」から「相談する」へ

1. 検索の入口がAIに変わりました

これまでGoogleで検索し、そこから自分で深掘りしていた調べ物が、一度のやりとりで必要な答えにたどり着く形になりました。受講されたメンバーの皆様は、ほぼ毎日AIを使われています。

2. 「仕事以外でもいいから、まず使う」が広がりました

社内へ発信されているのは、精度の高いプロンプトを最初から作ることではありません。

「とにかく使って、慣れていく。別に仕事のことじゃなくてもいい」

仕事とは関係のない、興味のある分野について聞いてみる、といった使い方から入り、「便利だな」「賢いな」と感じられれば、自然と仕事にも広がっていく。パソコンやインターネットが職場に入ってきた頃と同じ順番だという実感に基づいた考え方です。

「そういう風土の基礎ができればいいかな、というのがステップ1です」

3. 作った資料が、社外からの評価につながりました

社内の効率化にとどまらず、発注者から文書の質を評価いただく場面が生まれています。同業の皆様の中でAI活用が本格化する前の今、先に取り組んでいること自体が違いになっています。

4. 時間短縮だけでなく、確認の精度が上がりました

経営計画書の法的チェック、就業規則の文言確認、印刷原稿の校正。いずれも「見落とさないこと」が求められる業務です。人の目に加えてAIの確認が入ることで、作業時間の短縮と同時に、確認の確かさが増しています。


今後の展望

図面からの数量拾い出し ── 鍵は「専用の仕組み」

最も可能性を感じていらっしゃるテーマです。発注によっては数量が明記されておらず、図面から必要な数量を拾い出す工程が必要になります。

「見積を作るより、それを拾う業務の方が時間がかかります」

現在この業務には、建築側の2名を含め2〜3名が携わっていらっしゃいます。

「図面の拾い出しが正確にできるようになると、我々の業務は本当にすごく楽になります」

現時点の汎用AIでは、図面上の記号や寸法が「何を指しているか」までは読み取りきれない場面があります。ここは、見るべきポイントと過去の実績を学習させた専用の仕組みが向いている領域です。

必要になる要素活用イメージ
図面必要項目・数量の拾い出し
過去案件のデータ「このパターンならこの読み取り方」の蓄積
判断の確認AIの読み取りを人が確認する工程
見積への連携拾い出した数量から見積作成へ

現場と本社をつなぐ横展開

工事ごとに現場事務所を構えられているため、受講されたメンバーの皆様が本社に戻られるのは、現場が始まる前と終わった後になります。そのタイミングで「こう作っている」という共有が進めば、研修で得たものが会社全体へ広がっていきます。

プロンプトとGemの作り込み

定番のプロンプトを用意してGemに設定する使い方については、「自分なりの要点をつかみたい」というお話がありました。現在は資料を見返しながらプロンプトをコピーし、自社の内容に置き換えて使われている段階です。研修で共有したNotionの資料も、現場の皆様が必要なときに見返す形で活用いただいています。

「AIとGoogle Workspace、どちらに聞けばいいのか」

AI活用とGoogle Workspaceの導入を同時に進められているため、相談先の切り分けが論点として挙がりました。KANNONはAI活用を専門としつつ、Google Workspaceについても一定の知見があります。どちらの話かを切り分けずにご相談いただける状態を、アフターサポート期間を通じて作っていきます。