Do Frontier株式会社さま フィットネス
研修のあと、社内に「まず一度AIに任せてみる」という進め方が入りました。
メールの下書き、資料のたたき台、シフトの管理、そして業務マニュアルの作成。月に100枚を超える領収書を扱う現金出納帳の自動化にも挑戦されています。
うまくいったことも、やってみて初めて分かったこともありました。その両方があったからこそ、「次に何を整えるべきか」がはっきりと見えてきています。
背景|「試してみる方法」が分かりませんでした
2026年8月に全2回のAI活用人材開発研修を対面で実施し、8名の皆様が受講されました。
研修前は、AIに関心はあるものの、何から手をつければよいのかという段階でした。事務を担当されている方も、「そもそもチャレンジの方法すら分からなかった」とお話しされています。
研修で扱ったのは基本操作だけではありません。2日目には、実際にお困りだった現金出納帳の作成をテーマに、講師と一緒に「どう使えば楽になるか」を検討する時間も持たれました。
「それをやってみようと思う、チャレンジできたことはすごく良かった」
この一歩が、その後の社内の動き方を変えています。
変化|事務の仕事に「一度AIに任せてみる」が入りました
文章づくりとメールの下書き
日々のメール作成では、AIに添削を任せる使い方が定着しています。「もう少し丁寧に」「分かりやすく」と指示を出し、文面を整えてから送る形です。
社内の文書についても、たたき台をAIに作らせてから手を入れる進め方が広がっています。受講された他のお二人も、社内文書やメールの作成でAIを使われるようになりました。
事務を担当されている方のもとには、以前より相談が集まるようになっています。使う人が増えたことで、「これはAIでできないか」という会話が社内に生まれ始めた状態です。
シフト管理への活用
受講されたメンバーの中には、シフトの調整にAIを使いたいと考え、まずご自身の予定管理から試されている方もいらっしゃいます。
現場で接客に携わるメンバーにとって、シフト調整や出勤簿の管理は本来の業務に付随する作業です。ここを軽くできれば、お客様と向き合う時間をそのまま増やせます。
現金出納帳の自動化への挑戦 ── 見えてきたのは「橋渡し」の工程
今回、最も踏み込んで挑戦されたのが現金出納帳の作成です。
月に100枚ほどの領収書をPDFにし、Excelで作成した出納帳の原本と一緒にAIへ読み込ませ、転記させるという流れを試されました。
| 工程 | 現在の進め方 |
|---|---|
| 1. 領収書を読み込む | PDF化してAIに渡す |
| 2. 出納帳の原本を読み込む | Excelファイルを別途AIに渡す |
| 3. 転記する | AIが出力したものを確認する |
| 4. 仕上げる | 不明な箇所を埋め、最終的に整える |
やってみて分かったのは、工程がいくつにも分かれていて、その一つひとつを人が橋渡ししているということでした。読み込ませるたびに待ち時間が生まれ、出てきたものを確認して整える作業も残ります。
「AIに読み込ませる、その一つひとつを人がつないでいる状態です」
現在は従来どおりの方法に戻して運用されていますが、この挑戦で得られたものは小さくありません。どこに時間がかかるのか、どの工程が人の手を必要としているのかが、具体的な形で見えるようになりました。
業務マニュアルの作成 ── 「誰が見ても業務を行える」状態へ
以前から作成したいと思いながら先延ばしになっていた、ご自身の業務に関する作業マニュアルを、ChatGPTを使って作成されました。現在も内容を精査されている段階ですが、概ね完成しているとのことです。
目的は、作業を速くすることではありません。長期の休みに入るようなことがあっても、誰が見ても業務を行える状態にしておくことです。
すぐに時間が減る類のものではありません。それでも、一人の頭の中にあった手順が文章になれば、引き継ぎも教育もそこから始められます。
クラウドでの共同編集
もうひとつ、大きな気づきとして挙がったのがクラウド上での共同編集です。
これまでは、Excelで作った資料をメールで送り、相手に確認してもらい、修正点を別の連絡手段で伝える、という往復が必要でした。社外の活動でクラウド上のドライブを使い、全員が同じファイルを同時に見て編集できる環境を整えたところ、その進め方が一変したといいます。
「今まで私たちは何をやっていたんだろう、というくらいでした」
数値の確認も、「ここは合っていますか」「こう直してください」をファイル上のコメントで直接やりとりできます。どこの何行目か、と言葉で説明する手間そのものがなくなります。
社内でも順次クラウド環境への移行が進んでおり、「わざわざExcelで入力したものをメールで送る」工程自体をなくせないか、という発想が生まれています。
全員で取り組んだテーマ
| テーマ | 内容 |
|---|---|
| メールの添削 | 文面を丁寧に、分かりやすく整える |
| 社内文書の作成 | たたき台をAIに作らせてから仕上げる |
| 議事録の作成 | 既存の議事録を元に形式を整える |
| シフトの管理 | 予定の整理・調整への活用 |
意識の変化|「使い方を知る」から「どこを軽くするかを考える」へ
1. 試す方法が分かりました
研修前は、何をどう試せばよいのかという段階でした。今は業務を前にしたとき「これはAIでできないか」と考え、実際に手を動かして確かめられる状態になっています。
2. 工程の中身が見えるようになりました
やってみたことで、どの作業に時間がかかり、どこで人の手が必要になるのかが具体的に分かるようになりました。漠然とした「事務が大変」ではなく、工程ごとの話ができる状態です。
3. 「これは本当に必要か」を問い直す視点が生まれました
現場のメンバーにとって、事務作業は本来の仕事に付随するものです。だからこそ、外から全体を見ている立場で気づけることがあるとお話しされています。
「これって本当に要りますか、というところを、外で見ている私がどこかで気づけないかな、という視点は常に持つようにしています」
4. 時間の削減だけが目的ではありません
今回のお話で繰り返し語られたのは、現場スタッフがお客様と向き合う時間を守ることでした。
「メンバー様とやり取りして、運動の良さを知ってもらって、成果を感じてもらう。喜んで通っていただくというところが彼女たちの仕事のメインなので」
事務を軽くすることは、そのまま本来の仕事に使える時間を増やすことにつながります。
今後の展望
業務委託先とのやりとり ── 鍵は「取りに行かなくても届く」状態
人事労務など一部の事務業務は、遠方の業務委託先へ依頼されています。物理的な距離があるため、やりとりはメールやファイル共有が中心です。
課題として挙がったのは、必要な情報がこちらに戻ってこないことでした。
「あれを送ってください、これを見せてくださいと言わないと出てこない、という状態です」
開示を断られているわけではありません。それでも、必要なたびに依頼するという工程そのものが負担になっています。共有の形を整えるだけでも、日々のやりとりは大きく変わります。
手書き書類のデジタル化
入社書類などは現在も手書きで作成し、委託先へ送って処理してもらう流れです。人事労務のクラウドサービスの導入も検討課題として挙がっており、将来的には業務そのものを社内へ戻していく構想もあります。
一緒に整理する相手
最後に語られたのは、ツールそのものではなく、進め方についてでした。
「私の頭の整理も含めて、どうしたらいいのかというところを、誰か一緒に考えていただけないかな」
何ができるかは、研修を通じて具体的に見えるようになりました。次に必要なのは、バラバラになっている工程をつなぎ、どこから手をつけるかを一緒に決めていく段階です。