その他サービス業さま(ビルクリーニング業)


研修から約3ヶ月。社内では有料プランを2アカウント契約し、社内研修の資料づくりを中心にAIが使われています。資料の見栄えは、はっきりと上がりました。

そして同時に、こんな言葉が出てきました。「研修を受けてから、AIが怖くなった」。

これは後ろ向きの感想ではありません。何ができるかを知ったからこそ、何を渡してよいかを決めなければならなくなった——いま、その段階に立っておられます。


背景|有料プラン2アカウントから始まりました

2026年4月から6月にかけて、全3回のAI活用人材開発研修を対面で実施しました。

研修で扱ったツールを有料プランで契約し、現在は2つのアカウントを運用されています。使い方の中心は、社内研修用の資料作成です。

「主に社内研修用の資料で使わせてもらっています」

一方で、会社として全体の運用ルールはまだ定まっていません。研修の前から無料版を個人で使っていた社員も一定数おられ、その使い方までは把握しきれていない状況です。

「社内でAIの運用ルールをきちっと決めないといけないな、というところで。まだ社内で展開ができていないので、制限がないような状況で無料版を使っている人もいるのかな」


変化|資料の質が上がり、次の課題が見えました

資料作成 ── 見栄えが変わりました

もっとも手応えがあったのは、社内向け研修資料の品質です。

「見栄えが、だいぶ見やすくなったのかな」

「資料というのは、以前よりもかなり精度も上がったものができているのかなと思う」

一方で、一度の指示で求める成果物まで到達するかというと、そこはまだこれからです。指示を重ねながら近づけていく段階にあります。

見積作成 ── 枠組みはできた。あとは自社の数字

営業領域では、見積作成へのAI活用を試されています。図面を読み込ませて見積を組み立てる流れです。

「ある程度うちの単価を入れて、例えば図面を読み込ませて見積を作るということは、僕も今やり始めてはいる」

ただし、本格運用には至っていません。理由ははっきりしています。

「まだ自社の単価というところまでは入力ができていない」

現状は、AIに枠組み(フレームワーク)だけを作らせ、単価と細部を手で修正する形です。枠は手に入った。あとは自社の数字をどう載せるか——そこが次の分かれ目になっています。


止まっているところ|個人情報という壁

もっとも大きな論点は、個人情報の取り扱いでした。

本当に効かせたいのは、顧客名や従業員情報を含む資料づくりです。しかし、そこに踏み込むにはリスクの整理が必要になります。結果として、こんな状態が生まれていました。

「個人情報の問題でリスクがあるというところで、Excel上で何か変換をしないといけないとか、その手間が増えると、そもそもChatGPTに作ってもらうんでも、なんか自分でやった方が早いんじゃないの、という意見も出てきて。なかなかうまく活用できていない」

安全に使うための一手間が、効率化の効果を打ち消してしまう。 これは、多くの企業が最初にぶつかる壁です。

同じ理由で止まっている構想もあります。多くのパート社員の勤務状況をデータ化し、欠員や補充の必要性を一覧で見える形にしたい、というものです。

「データ化して一括で見えるような形。ちょっとさっきの話に戻るんですけど、やっぱり個人情報の問題で。作るまでには至っていない」


意識の変化|「怖くなった」は、理解が進んだ証拠です

研修の前と後で何が変わったかを伺ったとき、返ってきたのは率直な言葉でした。

「研修を受けてから、より何かAIとかが怖くなったなというのはありますよね」

「受ける前と受けた後では、AIというのを本当に慎重に取り扱わないといけないのかな、というのは」

できることの幅が広がったからこそ、渡してよい情報の線引きが必要になった。その実感が、社内の制度づくりへ向かっています。

「逆にそれが、なかなか次に進めないところでもあったりとか。本当にさっきから話している社内の制度みたいなものをしっかりしないといけない」

「闇雲にみんなに触らせるわけにもいかないのかな、というのが会社の見解」

「使えるようになった」の次に来るのは、「どこまで使ってよいかを決める」こと。 研修の効果は、活用件数だけでなく、この判断力が育ったことにも表れています。


今後の展望

第一歩はアカウント整備 ── 事務部門へ

「どの部署でAIが効きそうか」を伺うと、迷いなく挙がったのが事務・管理の領域でした。

「やっぱり事務の方ですかね。事務方の方ですね。管理の方というか」

見積作成もスピードが上がると見込まれていますが、困りごとが多いのは事務の領域だという見立てです。

ただし、いきなりヒアリングには入らないと決めておられます。

「このタイミングで事務員にヒアリングしたとしても、『私たちまだ使えないじゃん』となると、それはそれで話がややこしくなっちゃう。まずは第一歩として、アカウントのところ、使える状態にしてあげないと」

課題を聞くのは、使える状態を作ってから。 順番を間違えない進め方です。

アカウントをどう広げるか

有料アカウントを一人一つ持つ形は、経費の面で現実的ではありません。

「有料アカウントを闇雲に増やすというのも、やっぱりうちの経費というところに重なる」

「今2つアカウントがあるので、そこに枝分かれという形で、使える人を増やしたいな」

他社では、部署ごとに1アカウントを作り、複数名で使い分ける形が採られています。そのうえで、個人情報を扱う担当者だけは個別のアカウントを持つという二段構えが現実的です。今回の規模感にも、この形が合いそうだというお話になりました。

社内ルールの整備

無料版を個人で使っている社員の使い方が見えていない点は、リスクとして認識されています。

「どのように使っているのかまで把握はできていないので、そこはちょっとリスクなんじゃないのかな」

まず今日からできることとして、個人アカウントの設定(入力内容を学習に使わせない設定)が済んでいるかの確認をお伝えしました。有料プランの中でも、情報の外部利用に関する扱いはプランによって差があります。ここを社内の共通ルールとして定めることが、次のステップになります。