製造業B社さま 製造業
「ちゃんとした答えが返ってくるのか」——研修前、生成AIに対する社内の印象はそこに集約されていました。ChatGPTを業務で本格的に使っていた社員はゼロ。少し触れたことがある程度で、具体的な活用イメージは誰も持っていませんでした。
KANNON AI研修を受けた7名は、今では日常的にAIを活用しています。メールの添削、海外取引先との翻訳、人事評価の設計、展示会来場者のランク分け——活用の幅は、個人の「便利ツール」を超え、部署の仕組みへと広がり始めています。
数字以上に変わったのは、「調べる時間」と「考える時間」の配分です。AIに調査を任せることで、社員が本来やるべき判断や対策に集中できる。その実感が次のステップを後押ししています。
課題|AIへの関心はあった。ただ「本当に使えるのか」が見えなかった
製造業B社では、生成AIの存在自体は社内で認知されていました。しかし、業務に本格導入している社員はいませんでした。少し触ったことがある程度で、「検索エンジンと何が違うのか」「本当に正確な答えが返ってくるのか」という疑問が先に立っていました。
「ちゃんとした答えが返ってくるかは、すごい疑問だったんですね」
社長自身もAIに関心を持ち、業務への活用に期待はありました。しかし、具体的にどの業務にどう使えるのか、現場レベルでのイメージを持てていない状況でした。
変化|メール添削、翻訳、人事評価——日常業務にAIが溶け込んだ
研修を通じて「プロンプトの出し方次第で、AIの回答の質がまったく変わる」ことを体感したことが、活用の起点になりました。
「どんだけうまいことプロンプトを出すかによって全然変わるなっていうのが、研修を受けてわかったので、そこはすごい今、活かせてます」
メールの添削——最も日常的な活用
研修後、最も頻繁に使われるようになったのがメールの添削です。取引先へのメールを送る前に、AIに文面をチェックさせることが日常のワークフローに組み込まれました。
「取引先様にメールする機会が多いので、失礼がないかというところで添削してもらう活用が一番多いです」
翻訳——自社の文脈を踏まえた精度
海外との取引が多い製造業B社では、翻訳にもAIが活躍しています。一般的な翻訳ツールとの違いは、自社のアカウントに蓄積された情報を踏まえた翻訳ができる点です。
「一般的な翻訳機よりも、我々が使っているアカウントに情報が溜まっていくので、より実態に近い翻訳をしてくれる。イメージがしやすい」
人事評価の設計——「考える仕事」の壁打ち相手に
人事評価の場面では、既存の評価表をAIに読み込ませ、部長職の評価基準を一緒に設計するという活用も生まれました。定型業務の効率化だけでなく、「考える仕事」の壁打ち相手としてもAIが機能し始めています。
展示会の顧客ランク分け——部署全体の共通基準に
営業部門では、展示会に来場した企業のランク分けにAIを活用。一定の条件を入力して統一フォーマットで分類することで、担当者ごとのバラつきをなくし、部署全体で共通の基準を持てるようになりました。
「共通したランク分けができるようになった」
成果|「使える人」から「使う組織」へ
活用の広がり
研修を受けた7名を起点に、AI活用は部署を超えて広がっています。
| 活用領域 | 内容 |
|---|---|
| 営業部 | メール添削・翻訳・展示会顧客ランク分けが部署全体に浸透 |
| 管理部門 | 人事評価の設計にAIを活用 |
| 製造・技術部門 | 材料の規格調査、NC加工機の条件検討に活用 |
| 個人の学習 | Pythonなど未経験のプログラミングをAIと学ぶ社員も |
「Pythonなんか触ったことなかったけど、AIを使って勉強した。説明もしてもらえるので理解もできる」
意識の変化
社長自身もAIを日常的に活用するようになり、全社的にAI推進の姿勢を明確にしています。研修を受けていない社員にも「使った方がいい」と推奨が広がり、組織としてAIが「当たり前」になりつつあります。
「使った方がいいという人は広げていっていると思う。会社内でもっと広げていきたい」
「調べる時間」が減り、「考える時間」が増える——この感覚が、社内の共通認識になりつつあります。
「調査するための時間が減って、考えたり、次の対策のために使う時間が増えるのかなと思っています」
展望|社内データの一元化と、製造現場の自動化へ
製造業B社が次に見据えているのは、社内データの活用です。現在、各部署のデータはバラバラに存在しており、過去の実績や経緯を調べるには時間がかかります。
「社内のデータをもっとみんなで共有できたり、分析できたりするといいなと思います。過去に何かあったかなとか、そういう質問でパッと返ってくると、調査の時間が減って対策に使う時間が増える」
社内では「見える化ITチーム」がデータの整理・統合を進めており、ここにAIを組み合わせることで、リアルタイムの経営判断に活かせる基盤づくりを目指しています。
製造現場では、生産管理における段取りの最適化にも期待が寄せられています。在庫数や注文数をもとに、最適な段取り順を自動で提案する仕組みが実現すれば、現場の負荷は大きく軽減されます。
AI研修で「使い方」を学んだ社員たちが、今度は「仕組み」を変える側に回り始めています。製造業B社のAI活用は、個人の便利ツールから、組織の経営基盤へと進化しようとしています。