AI研修事例インタビュー、株式会社アルマックスさま
研修で生まれたものが、演習で終わらずに現場で動いています。
予約サイト、図面の拾い出し、現場装置のプログラム、発注業務の自動化、生産スケジュールの判定。
いずれも受講者ご自身の手で作られたもので、すでに実際の業務で使われています。全3回の研修が生んだのは「AIを使える人」ではなく、「自分たちの業務を改善する仕組みをつくる人」でした。
背景|「既存のアプリを探す」ところから始まりました
2026年5月から7月にかけて、全3回のAI活用人材開発研修を対面で実施し、6名の皆様が受講されました。
研修前は、社内のスケジュール管理や予約管理について「世の中にある既存のアプリを探して導入する」という発想が中心でした。自社の業務に合うものを探し続けていたものの、必要な機能だけに絞られたものにはなかなか出会えない状況でした。
研修で扱ったのは、ChatGPTの基本操作や文章生成だけではありません。チラシ作成、動画制作、マニュアル作成、アプリ開発、プログラミング、Excelマクロ、図面の読み取り・拾い出しまで、実際の業務に直結するテーマが並びました。
変化|受講者それぞれが「作る人」になりました
予約・スケジュール管理アプリ
社内のスケジュール管理や予約管理に使えるアプリを作成されました。研修後には、社内設備の予約サイトも完成しています。
予約を受け付けるだけでなく、予約内容をこちら側で承認・管理できる仕組みまで作られており、単なるフォームではなく実運用を前提としたものになっています。社内向けにも、同じ仕組みを展開できる見通しが立っています。
| 展開先の候補 | 内容 |
|---|---|
| 会議室の予約 | 空き状況の確認・予約 |
| 営業車・社用車 | 予約と利用管理 |
| 社内設備 | 設備ごとの予約管理 |
| 営業担当者の予定 | 週間・月間の訪問予定を社内で共有 |
営業メンバーについては、「今週どこに訪問するのか」「今月どのような予定が入っているのか」が社内で見えるようになるだけでも、情報共有は大きく前進します。
既製品に自社の業務を合わせるのではなく、必要な機能に絞って自社に合わせたものを作れる。この発想の転換が、今後の社内展開の土台になっています。
「既存のアプリを探していたが、ほぼ同等のものを自分たちで作ることができた」
図面の拾い出し・GPTs・現場装置のプログラミング
図面をAIに読み込ませ、必要な情報を拾い出す活用を実践されました。
「図面の拾い出しは非常に有効だった」
これまで一つひとつ目で確認していた作業をAIが補助することで、確認や整理の負担が軽くなります。効果は作業時間だけではありません。見落としや抜け漏れの防止、第三者でも図面を理解しやすくなること、情報が一定の形式で整理されることまで広がります。
GPTsによる業務特化AI
業務ごとに指示やルールを設定したGPTsを作成されました。毎回同じ説明をしなくても、一定の品質の回答が返ってくる状態になります。
現場装置のプログラミング
「ボタンを押すと音が鳴る」「2回目の作業なら2番のボタンを押す」といった現場の装置について、AIと相談しながらプログラムを作成されました。作られたものは、実際に現場で使われています。
「AI研修を通してプログラミングまで学べた」
これまで専門業者への依頼が前提だった仕組みも、簡単なものであれば現場側で作れる。その手応えが生まれました。
Excelマクロの改善
既存のマクロについても、「どこを直せばよいか」「どのような処理を追加すればよいか」「エラーの原因は何か」をAIに相談しながら改善できるようになりました。専門知識がなくてもプログラムの内容を理解し、現場改善のスピードを上げられる状態です。
注文書・発注業務の自動化
FAXで届く注文書の内容を生産管理システムへ手入力する工程について、データ化してCSVで取り込むことで、人が転記する工程を減らす取り組みを進められています。あわせて、発注が発生した際に担当者へメールで連絡が届く仕組みも作成されました。システムを常に見張らなくても、必要なタイミングで気づける状態です。
そして、最も印象的だったのは価値の置きどころでした。
「1回数分の削減よりも、発注忘れや見逃しを防げることが大きい」
1件あたりの短縮時間は数分程度です。それでも、発注忘れ・見逃し・材料不足・転記の行き違いを防げるようになれば、業務全体へのインパクトは大きくなります。
「型を作れば、誰でもできる状態にしていけそう」
特定の担当者しか使えないものではなく、型として整えることで誰でも同じようにできる。この感覚が得られたことも大きな成果です。今後は材料だけでなく、副資材の発注・管理にも広げていく構想があります。
営業資料と生産管理スケジュール
お客様に理由をしっかりお伝えする必要がある場面で、ChatGPTを壁打ち相手として活用されています。
「自分の言葉だけでは説得力が弱い内容も、AIと壁打ちしながら理屈や根拠を整理できる」
「なぜ値上げが必要なのか」「どのような根拠で説明すると納得いただけるか」「どの順番で説明すると伝わるか」をAIと整理することで、説得力のある資料を作れるようになりました。AIを文章作成ツールとして使うのではなく、考えを整理するための相談相手として使われている点が特徴です。
生産管理スケジュールの判定
ExcelのマクロとVBAを使い、生産スケジュールを組む仕組みにも取り組まれました。受注した製品について、納期・作業時間・必要な工程・現在の稼働状況を整理し、「この注文は納期に間に合うのか」「どこで応援が必要になるのか」「どの商品が遅れる可能性があるのか」を判断できる状態を目指されています。
現場では、担当者のお休みや設備トラブル、突発案件など、計画通りに進まない要素もあります。そのため完全な自動化ではなく、「現状のまま進めると間に合わないもの」を事前に判定する用途で活用されています。一件ずつ頭の中で確認するのではなく、優先的に対応すべき案件が先に見つかる形です。
全員で取り組んだテーマ
| テーマ | 内容 |
|---|---|
| チラシ・資料作成 | お客様向け説明資料、値上げ説明資料、社内向け資料、チラシ |
| 技能実習生向け動画 | 現場作業の紹介動画に日本語字幕とインドネシア語字幕を追加 |
| マニュアル作成 | 文章形式に加え、漫画風など現場が読みやすい形へ |
技能実習生向けの動画は、言語の壁がある従業員の方にも作業内容が伝わる形を目指したものです。入社時教育や作業説明にも活用でき、担当者が毎回同じ説明をする代わりに、動画とマニュアルで標準化しておけるようになります。
マニュアルについても、漫画形式・イラスト・ステップ形式・写真と説明・多言語化と、読む人に合わせて表現を変えられる点がAI活用の強みとして挙がりました。作るだけでなく、現場で実際に使える状態まで持っていけていることがポイントです。
意識の変化|「AIを使える人」から「仕組みをつくる人」へ
1. 探すのではなく、自分たちで作れると分かりました
予約管理やスケジュール管理は、これまで既存のアプリを探して導入することが前提でした。研修を通じて、自社の業務に合わせた簡単なアプリであれば自分たちで作れることが明確になりました。
2. 「型」を作れば社内へ広げられる感覚が生まれました
一人だけがAIを使える状態ではなく、仕組み・GPTs・アプリ・マクロを一度「型」として整えることで、他の社員も同じように使えるようになります。属人化していた業務を標準化していく道筋が見えてきました。
3. AI活用が現場改善まで広がりました
文章作成にとどまらず、図面・生産管理・発注・プログラミング・マクロ・現場装置・マニュアル・予約システムまで活用範囲が広がりました。特に、現場で実際に使われているものが出てきたことが大きな成果です。
4. 時間削減だけでなく、ミス防止に価値があります
AI活用は「何時間削減できたか」に目が向きやすいものですが、今回の事例では、発注忘れを防ぐ、転記の行き違いを防ぐ、見積の漏れを防ぐ、納期遅延を早期に発見する、図面の確認漏れを減らすという価値が語られました。
今後の展望
見積業務への展開 ── 鍵は「相場感の紐づけ」
見積業務は、今回のお話の中でも最も可能性が大きいテーマとして挙がりました。目指すのは「より正確に、より早く、漏れのない見積を作れる状態」です。
経験豊富な担当者であれば図面を見て必要な作業や金額を判断できます。これを、経験の浅い担当者や第三者でも同じようにできる状態にしていきたいという構想です。
| 紐づける要素 | 活用イメージ |
|---|---|
| 図面 | 必要項目の拾い出し |
| 過去の見積・受注実績 | 「この加工なら過去はこの金額だった」 |
| 材料費・相場 | 「材料価格を考えると現在はこの程度」 |
| 類似製品 | 「同程度の製品ならこの価格帯」 |
特に重要なのが「見積をする上での相場感の紐づけ」です。図面から数量を拾うだけでなく、相場感までAIが補助できれば、経験を積む途中の社員でも一定品質の見積を作れる状態に近づきます。
発注・管理業務の横展開
材料の発注で作った仕組みを、副資材などにも広げていく構想があります。一つの業務で作った仕組みを別の業務へ展開していくことで、会社全体の業務改善につながります。
「じっくり作る時間」と伴走支援
一方で、本格的にAIを社内へ定着させていくための論点も明確になりました。
AIに一度指示すれば完成するわけではなく、プロンプトの調整、実データでのテスト、エラーの修正、現場の意見の反映、操作を簡単にする工夫、誰でも使える形に整える工程が必要になります。
「じっくり作る時間が欲しい」
「本気で進めるなら、専門の人間が入ってほしい」
日常業務と並行してこれらを進めるには限りがあるため、AIに詳しい専門担当者や、現場と一緒に仕組みを作る伴走者が必要ではないかというお話が出ています。
研修によって「AIで何ができるか」は具体的に見えるようになりました。次のステップは、実際の業務へどう定着させ、会社全体へ広げていくかです。